淺沼組名古屋支店が第33回BELCA賞(ベストリフォーム部門)を受賞。表彰式に参加しました
株式会社淺沼組(本社:大阪市、代表取締役社長 浅沼誠)の名古屋支店が、公益社団法人ロングライフビル推進協会が主催する、第33回BELCA賞ベストリフォーム部門を受賞し、5月20日に開催された表彰式において賞状を授与されました。
BELCA賞とは、ビルのロングライフ化に寄与することを目的として設けられた、既存建築物に対する表彰制度です。賞を2部門に分け、長年に渡り適切に管理され、今後も長期保全の計画がある模範的建築を「ロングライフ部門」として、社会の変化に対応して蘇生し、飛躍的な価値向上をさせるリフォームがなされた建築物を「ベストリフォーム部門」として選考し、平成3年から昨年度までで315件の建築物が表彰されています。本年度のBELCA賞はロングライフ部門4件、ベストリフォーム部門6件が表彰されました。
表彰式には、淺沼組より常務執行役員 石原誠一郎、淺沼組技術研究所長 山﨑順二、プロジェクトに協力していただいた、建築家の川島範久さん、左官株式会社 久住有生さん、 KS AG境洋一郎さん、吉野銘木製造販売 貝本拓路さん、グリーンスペースオオサカ 辰己耕造さんに参列していただきました。
選考評:
本計画は、築30年を経過した株式会社浅沼組・名古屋支店の改修であり、「都市における「循環」のなかの建築」をテーマに「環境配慮型リニューアル」と銘打って実施されている。既存躯体は独自開発された「通気ハイブリッド法」によって診断され、今後の定期的な外壁メンテナンスをすることで、少なくとも70年の供用が可能と判断された。健全なスケルトンあっての、長期使用に向けたリニューアルである。
自社ビルならではの徹底したリサイクルや社員ワークショップ・デザインパートナーとの協働など、そのプロセスにおいても意欲的な取り組みとなっている。何と言っても特徴的なのは正面西側ファサードの改修である。改修前はガラスファサードであったが、樹齢130年の吉野杉の丸太と深いバルコニーの緑があいまって、有機的で「循環=GOOD CYCLE」を感じさせる表情となっている。吉野杉は、将来的に家具など別の用途としても使用可能とする理念のもと、あえて未乾燥のままとりつけられている。
建設残土をアップサイクルした土壁、還土ブロックを使った間仕切り、杉の端材を利用したテラゾーテーブルなど、徹底したリユースも行っている。結果、温かみを感じる内装・表情のある家具が内部空間を彩っている。
SDGs時代の新たなリニューアル:「使う人の健康に地球に負荷をかけないサステナブル建築」として、昼光センサー・高COP空調機・デシカント空調などを採用し、省エネルギー化に努めている。結果、運用時のCO2排出量は52%削減を実現している。執務空間はバルコニーによる日射遮蔽効果ならびにロールブラインドによる制御により温熱環境・視環境を向上させている。また水やりの用意な屋内プランターなど、屋内外に緑を配し、快適な執務環境を創出し、快適性(WELL認証ゴールド取得)と省エネ(ZEB認証)を両立させていることは高く評価された。
現地審査の際も、オープンテラスとしてのバルコニーの心地よさ、自然素材の活用の試行や改修時に現れた壁面の表情をデザインとして再生した試み、最上階の天空光の注ぐホールなど、環境面でもデザイン面でも快適な空間を体感することができた。執務室とコアの境界をガラスパーティションにすることで、より広がりを感じるオフィスとなった一方、レイアウトはやや従来型と感じられた。今後、緑豊かなバルコニーや、明るいラウンジなども執務・滞在空間として積極的に活用されるポテンシャルは十分感じられた。ユーザーが主体的に関わり、楽しく「育てていける」建築というプロジェクトの理念をぜひ実現していただきたい。(BELCA賞ホームページ記載)
表彰式で、審査委員長 三井所清典さんは、選考総評でこのように述べられました。
「表彰建築物の建築年齢を見ると、最高齢は230歳(歳吉屋:長野)の木造の江戸時代後編の民家で群を抜いている。続く、96歳(旧山口萬吉邸 kudan house:東京)、93歳(立教女学院高等学校校舎:東京)、90歳(丸福楼:京都)の3件はいずれも昭和初期の建築で、関東大震災後の耐震構造が確立した後の恵まれた時代の建築で、RC造の住宅と学校及び木造の住宅規模の企業施設である。67歳(広島県県庁:広島)の庁舎は戦争復興期終盤の建築で、建築部材等が現在と違って貧しく同年輩の建築の多くが取り壊される中で、大切に保存されている遺産的な建築である。59歳(紀伊國屋ビルディング・国立代々木競技場:東京)の2件と56歳(静岡新聞・静岡放送東京支社:東京)、54歳(東郷の杜・東郷記念館:東京)の建築合わせて4件は高度成長期の前半のもので、その中でも恵まれた建築たちである。
最も若い34歳(淺沼組名古屋支店:愛知)の建築は平成初期生まれのオフィスビルで、環境の時代に合わせてデザイン的趣を一変させている。
今後超高齢、高齢の建築を含め、表彰の建築たちがどう活用され、維持保全されて成熟していくか楽しみである。このベルカ賞を通し、建築文化・都市文化を大切にしていくことがいかに重要であるかを社会に伝え、建築物の長寿命化の普及に貢献していきたい」
第33回BELCA賞 表彰建築物一覧はこちら
淺沼組名古屋支店は、この中でも最も年若い34歳の建築として、歴史ある建築物とともに名を連ねられたことを大変光栄に思います。
淺沼組は、今後も、建物の価値を高めるリニューアル事業を推進し、関係者の皆様と想いを共に『人間にも地球にも良い循環を生む』建設に努めていきたいと思います。
BELCA賞主催:公益財団法人ロングライフビル推進協会